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田英夫+山根節『なぜ、あの会社は儲かるのか?』を読んだ。私は考えることで飯を食っている。だから読書(インプット)よりも思考に時間を割り当てなきゃいかんけど、ついつい本を読んじゃうよね。だから仕事できないのよね。


でも、この本おもしろかった。高級路線の罠、損して得とれ、近そうで遠い・遠いようで近いビジネス、この3点が特に興味深かった。高級路線の罠とは、高級=希少性とした場合に高コスト体質になってしまう。少品種大量生産のユニクロ的な経営ができない。だから、粗利益が悪くなる。それを防ぐため、BMWなら別会社を買収し、同じ部品を使い、大量生産を実現している。


損して得とれとは、キヤノンのようにプリンターを安く売って、カートリッジやインクなどサプライ用品で稼ぐこと。イニシャルを安くし、世の中にインフラを広げ、ランニングで稼ぐわけだ。ただし、ゲーム業界みたいにインフラの上にのるソフトの寿命が短い業界は厳しい。インフラを構築し、広げたとしても、その上にのるものの種類が多く、寿命が短いと稼ぎにくい。逆に、プリンターみたいな単機能なものは、製品の寿命が長く、おいしい。


近そうで遠い・遠いようで近いビジネスってのもおもしろい。例えば、通信と金融。ソフトバンクがユーザに金融商品を提供したがなかなかうまくいかない。なぜなら、通信と金融では体質が違うから。通信はベストエフォートという用語で理論値と実際の値が違うのが当たり前。他方、金融はセキュリティもお金の話も厳密さが命である。そこではトップの決断の仕方も仕事の進め方も違う。大きな違いがあるまま、同一企業が別の商材を売るのは体制維持が大変。人材はローテーションで回る。通信畑の人はおおざっぱかもしれないがスピーディな意思決定が身に染みている。そんな人が金融部門に移ってもうまくいかない。


仕事において技術の変化スピード、セキュリティの重要度など多数のファクターがある。だから、営業という同じ職種でも必要とされる能力は違ってくる。だからさ、営業だから他の業界いってもやっていけるぜーとはいかないんだよね。営業の対面商売という一面だけ取り出して考えるのって甘い。商材によって企業体質が異なり、要求される佇まいも違うんだから。